
「家を建てる相談をしているが断熱材は結局何がいいの?」と悩まれている人はいませんか?ハウスメーカーによっては自社で利用している断熱材のメリットしか話さず、理解ができないまま流されることがあります。
断熱性能に影響を与える断熱材、快適な住まいにするためには、こだわらなければいけません。断熱性能が高い家ならば電気代も安くなります。
まずは何種類もある断熱材の特徴を知り、比較をしておきましょう。営業マンに「詳しい人」と思われれば、流されることなく説明が受けられるはずです。
そこで今回は、「断熱材比較!断熱材の種類や特徴10選」を解説します。住み始めてから後悔をしないためにも、たくさんある断熱材の特徴を知っておきましょう。
-
-
ZEH住宅ならココ!おすすめのハウスメーカー商品10選
マドコZEH住宅ならココ!おすすめのハウスメーカー商品10選を解説 「環境問題や光熱費の節約を考えZEH住宅に決めたけど、どこのハウスメーカーがいいの」と悩まれている人はいませんか?ZE ...
続きを見る
目次
断熱材の種類や特徴10選

断熱材の主な種類
- 無機繊維系:①グラスウール ②ロックウール
- 木質繊維系:③セルロースファイバー ④インシュレーションボード
- 天然素材系:⑤羊毛(ウールブレース) ⑥炭化コルク
- 発泡プラスチック系:⑦ポリスチレンフォーム ⑧硬質ウレタンフォーム ⑨フェノールフォーム ⑩高発泡ポリスチレン
それぞれの特徴から、断熱材を比較しましょう。
無機繊維系①グラスウール
断熱材の中でもポピュラーなグラスウールは、リサイクルガラスを主原料としています。ガラスを細かく熔解して繊維状にし、接着材を吹付け加工した断熱材です。

- 価格:安い
- 断熱性:高い
- 燃えにくい:〇
- 燃えた時の有毒ガス:発生しない
- 湿気:弱い
価格が安いこともあり、多くの家に利用されているポピュラーな断熱材です。厚みが増すほど断熱性がアップします。
「天井」「屋根」「壁」「床」など、多くの場所に利用できるのも特徴です。
材料費に加え、施工費も安くなります。防音効果も高く、シロアリに強いなどのメリットがある断熱材です。
広く普及する理由がわかります。
ただ水に濡れると断熱性能が失われることから、湿気に弱いのがデメリットです。防湿や結露対策を考えておかなければいけません。
ココに注意
しかし性能の向上や施工技術の進歩により、以前ほど問題視されなくなりました。隙間なく施工するだけのテクノロジーを持つハウスメーカーに依頼をすれば、デメリットはだいぶ防げます。グラスウールを断熱材で使用するときはハウスメーカーに「施工時は気密シートを利用するか?」などの確認が必要です。
もし技術的に難しいと感じれば、再検討をおすすめします。
無機繊維系②ロックウール

原料を高温加工して作成する石綿の一種、日本でのシェア率はそれほど高くありません。しかし北欧では人気の高い断熱材です。
日本では鉄鋼スラグを主原料とすることが多く、欧米は玄武岩を利用したものが多く見られます。
- 価格:安い
- 断熱性:高い
- 燃えにくい:〇
- 燃えた時の有毒ガス:発生しない
- 湿気:弱い
グラスウールと同じ無機繊維系なので、ロックウールを利用するのならばグラスウールを利用すると考えるのが一般的です。
断熱材の中で比較をすると安いのですが、グラスウールよりは若干高いです。
ココがポイント
防音効果と耐火性に優れていることから、空港などの商業施設で採用されます。万が一の火災発生時でも、有毒ガスや猛烈な発煙がないことから、避難誘導に支障がでません。
ただ、撥水性(水をはじく性質)が高いが湿度に弱い点がデメリットです。触れるとチクチクしてかゆみを感じることから、人によっては嫌がられるかもしれません。
湿度などに関しては、グラスウールと同様に施工時の対策が必要になります。
木質繊維系③セルロースファイバー

古紙を粉砕して再利用する方法や、おがくずなどの木質繊維が主原料なので環境にやさしい特徴を持っています。
- 価格:高い
- 断熱性:高い
- 燃えにくい:〇
- 燃えた時の有毒ガス:発生しない
- 湿気:強い
価格が高いのが気になります。

価格で比較をすると難しいと思いますが、メリットが多い断熱材です。
防音効果や湿気に強いのがメリットです。防虫効果も問題ありません。
ホウ酸により、充分な加熱処理が施されているため、火災にも強いのがメリットです。呼吸をする断熱材なので、調湿性にも優れており、湿気を吸収します。結露を防ぎ、壁の中におけるカビの発生を防ぐのが特徴です。
厚くすればするほど断熱性と調湿性が向上します。

ココがポイント
施工に関しても、壁に吹き付けることから隙間ができる可能性が低く、グラスウールと比較をしても安定した断熱性が期待できます。
セルロースファイバーの問題は価格だけです。
しかし価格は高額ですが、コストパフォーマンスに優れている断熱材なのは間違いありません。
木質繊維系④インシュレーションボード
インシュレーションボードは、細かく粉砕した木材を一定の厚でボード状にした断熱材です。軽くて加工がしやすいため、いろいろな場所に利用されてきました。
ただ、住まいの断熱材としては、利用されることが少なくなった素材です。
- 価格:安い
- 断熱性:高い
- 燃えにくい:〇
- 燃えた時の有毒ガス:発生しない
- 湿気:弱い
環境にやさしい素材ですが、木材なのでシロアリに弱いのが問題です。湿気にも弱く、他の断熱材と比較をしてもメリットがあまりありません。
燃えにくい成分が配合されているため、火災には強いです。
ココに注意
やわらかい素材なので施工がしやすいのですが、隙間もできやすく、施工業者は気を付けなければいけません。
他の断熱材と比較をすると、あまりおすすめのできない断熱材です。
天然素材系⑤羊毛(ウールブレース)
ウールブレースは、主原料となる羊毛を70%以上利用した断熱材です。

- 価格:高い
- 断熱性:高い
- 燃えにくい:〇
- 燃えた時の有毒ガス:発生しない
- 湿気:強い
羊毛から受けるイメージどおり、他と比較をしても断熱性能に優れています。
湿気を吸湿して放湿しながら空気を溜め断熱性能を高めます。調湿性に優れているので、カビなどの発生を抑えるのが特徴です。
ココがポイント
撥水性も高く、耐久性にも優れています。高品質な絨毯のように、いつまでも長持ちする素材です。
また有害部物質を発散しないので、アレルギー対策やヒートショックにも効果があります。健康面に不安がある人にはおすすめの断熱材です。
その他、火災に強く防音効果にも優れています。
ただ他の断熱材と比較をすると、高額なのが気になる点です。

高性能なので採用したいと考えても、ハウスメーカー探しに苦労をするかもしれません。
天然素材系⑥炭化コルク
炭化コルクは、ワインコルクを製造するときに余った端材を炭化させた断熱材です。人と環境に優しいのですが、高額なのが気になります。
- 価格:高い
- 断熱性:高い
- 燃えにくい:〇
- 燃えた時の有毒ガス:発生しない
- 湿気:強い
天然素材なので、断熱材としての役目を終えた後は自然に戻る断熱材です。
たくさんの空気を含んでいることから、調湿性に優れています。防音効果も高く、自然由来の防虫効果で虫を寄せ付けません。比較的、耐久性にも優れた断熱材です。
ココがポイント
コルクは難燃性なので、火災により一気に燃え広がることもありません。耐火性にも優れています。

価格面がクリアできれば、選択肢に入れたい断熱材のひとつです。
発泡プラスチック系⑦ポリスチレンフォーム
ポリスチレンフォームは、簡単に説明をすると発泡スチロールと同じ素材です。

「ビーズ法」
ビーズ状のポリスチレン樹脂を発泡させた断熱材です。水を吸わないメリットをあるため湿気に強く結露を防ぎます。
「押出法」
発泡させながら押出して板状にした断熱材です。特徴はビーズ状と似ています。断熱性に関して比較をすると、押出法が優れているのがポイントです。
- 価格:安い
- 断熱性:高い
- 燃えにくい:△
- 燃えた時の有毒ガス:発生しない
- 湿気:強い
価格が安く、加工がしやすい点が魅力です。
ココに注意
ただし、熱に弱いというデメリットを持っています。万が一火災が発生した場合は、壁内部のポリスチレンフォームは熱で溶けてしまい再利用はできません。
有毒ガスは発生しませんが、熱に弱いのは大きなデメリットです。
発泡プラスチック系⑧硬質ウレタンフォーム
硬質ウレタンフォームは、ポリウレタン樹脂にフロンガスなどの発泡剤を加えた断熱材です。発泡プラスチック系の中では断熱性が高いですが、価格は高額になります。

- 価格:高い
- 断熱性:高い
- 燃えにくい:×
- 燃えた時の有毒ガス:発生する
- 湿気:弱い
ボード状と吹付の2種類の施工が行えます。ボード状は、施工現場での手間が多いため、あまり採用されていません。
さらに詳しく
形が合わず、切断したことで隙間ができれば、断熱性は落ちます。デメリットもあることから、吹付を採用するハウスメーカーの方が多いです。
ただし、吹付を利用する場合は、通気層の確認を取るようにしましょう。通気層を設けない工務店もあるので、注意をしてください。結露の発生原因になります。
また、燃えると有毒ガスのシアン化水素が発生する点も踏まえておきましょう。

マンションの施工現場で、溶接時の火花がウレタンフォームに着火し大きな火災につながる事故も発生しました。火災に弱いのと比較的価格が高額になるのは、大きなデメリットです。
発泡プラスチック系⑨フェノールフォーム
フェノールフォームは、フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を加えボード状にした断熱材です。耐火性に優れており、ウレタンフォームのような有毒ガスは発生しません。
- 価格:高い
- 断熱性:高い
- 燃えにくい:〇
- 燃えた時の有毒ガス:発生しない
- 湿気:強い
断熱性も高く、大手ハウスメーカーでも採用をしている断熱材です。
熱によりプラスチックが硬化するので、耐火性に優れています。壁内にあるフェノールフォーム断熱材は、直射日光を浴びないことから耐久力も問題ありません。
水や湿気に強いのもメリットです。
デメリットは、発泡プラスチック系で比較をすると価格が高額になること、コストパフォーマンスに弱さがあります。さらに、害虫に弱い点も問題です。
ココに注意
シロアリはフェノールフォームも侵食します。木造を侵食するイメージですが、フェノールフォームも被害がでる点を考慮しておきましょう。
圧力にも弱く、衝撃によりすぐに割れるのも気になる点です。
他と比較をすると、断熱性は優れていますが、プラスアルファが弱い断熱材ではないでしょうか。採用する場合は、気になる点をハウスメーカーに質問することをおすすめします。
発泡プラスチック系⑩高発泡ポリエチレンフォーム
高発泡ポリエチレンフォームは、ポリエチレン樹脂に発泡剤を加え5倍から40倍に発泡させボード状にした断熱材です。耐水性などに優れています。
柔軟性があり狭い部分、例えば壁や柱の間などに利用されることが多い断熱材です。
まとめ
「断熱材比較!断熱材の種類や特徴10選」を解説しました。聞いたことのないような言葉が多く、こんなことまで知識として必要?と思われた人もいるかもしれません。
しかし、だからこそ営業マンも説明をサラッと流します。「断熱性に優れている」と言われれば納得をする人がほとんどです。
火災に弱いことや有毒ガスが発生することなど、詳しい説明を省くかもしれません。聞かないと説明をしない営業マンも多くいます。
きっと、営業マンも詳しくわからない内容なのかもしれません。だからこそ質問が必要なのです。
断熱材は、断熱性能だけでなく、マルチに活躍するものもあります。高額なお金を支払うのですから、間取りと同じように断熱材にもこだわるべきです。
もちろん金額も含めた比較が必要になりますが、コストパフォーマンスに優れた断熱材を選択しましょう。営業マンを巻き込むことが大切です。わからないことはどんどん質問をしましょう。