安く注文住宅を建てたいと考えている人はローコスト住宅を検討します。一般的な注文住宅の半分以下で建てられることもあるローコスト住宅、中には建物価格が1,000万円以下の商品もあるのです。若い世代の人が興味を持つ気持ちもわかります。
しかし「なんでそんなに安く建てられるの?」と不安を抱きませんか?安くなるには理由があります。ローコスト住宅を検討している人は、デメリットについての確認をしておかなければいけません。そこで今回は「ローコスト住宅のデメリット10選」を紹介します。デメリットを知り、できるだけ回避のできるハウスメーカーを選ぶようにしてください。
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目次
ローコスト住宅のデメリット10選
ローコスト住宅に明確な定義はありません。一般的な注文住宅よりも安価で建てられる家をローコスト住宅と呼んでいます。借入れ価格の金額が低くなることから、若い世代でも夫婦合算などの工夫で住宅ローンを組み、賃貸を卒業できるのがメリットです。
借りている住まいに賃料として毎月払い続けても何も残りません。住宅ローンを毎月支払う行為は財産を増やしています。若いうちに購入ができれば、無駄とも言える賃料を払わずに済むのです。しかしローコスト住宅にはいくつかのデメリットがあります。ハウスメーカーを探すときはデメリットを把握しておくと便利です。避けたいデメリットが回避できるハウスメーカーを選びましょう。ローコスト住宅のデメリットを詳しく解説します。
デメリット①外観デザインでローコスト住宅とわかる
ローコスト住宅は、安く仕上げるため、デザインをシンプルにします。ローコスト住宅の外観は似たようなものが多く、一般的な注文住宅と比較をすると一目でわかるかもしれません。隣に有名ハウスメーカーの住まいが建つと、比べられるデメリットがあります。
ローコスト住宅の外観の特徴は次のとおりです。
ローコスト住宅の外観の特徴
- 形はキューブ型の2階建て
- 外壁に窯業系サイディングボード
- 屋根にスレートやガルバリウム鋼板
- 門扉や塀がありきたり
形はキューブ型が多く見られます。間取りに凹凸があると、その分資材の量と手間が増えるので正方形が一般的です。延べ床面積を広げるため、できるだけ正方形に近づけます。
- 5m×5m=25㎡
- 4m×6m=24㎡
- 3m×7m=21㎡
上記は壁の周囲は20mで同じなのに、正方形と長方形で面積が変わる例です。正方形に近い方が面積は広くなります。しかも資材の長さも均等になるので生産が早いです。ローコスト住宅のこだわりは形をシンプルにすることで、延べ床面積を広げながらコストを落とします。
外壁には窯業系サイディングボードの採用が一般的です。コストパフォーマンスが最高の壁材ですが、タイルに比べると重厚感がありません。デザインが豊富ですが、タイルの家が隣に建つと安っぽさが際立ちます。屋根も同様です。スレートやガルバリウム鋼板は瓦と比較をすると安っぽく見えます。門扉や外壁も、住宅に合わせ無難なデザインを施すのが一般的です。
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デメリット②間取りの自由度が低い
ローコスト住宅は規格住宅が一般的です。注文住宅を依頼するときは次の3種類からオーダー方法を選択します。
- 規格住宅:すでに決められた間取りの中から選択
- セミオーダー:ある程度のパターンから組み合わせを変えるなど、いくつかのこだわりをプラス
- フルオーダー:細かく打ち合わせを行いオンリーワンの間取りを依頼
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規格住宅だからローコスト住宅というわけでもありません。豪華な規格住宅を商品化しているハウスメーカーもあります。100種類を超える間取りの中から選択ができるなど、ローコスト住宅とは異なる建て方が特徴です。
規格住宅が価格を抑えられる理由は、「設計不要」「商品化なので建てるのに慣れている」など、人件費の削減があげられます。材料費やこだわりの多い規格住宅になると、コストは上昇するのです。逆に、規格住宅の中でも次の建て方をするとローコスト住宅で建てられます。
ココがポイント
- 壁が少ない
- 部屋数が少ない
- 和室がない
材料費を減らすため壁が少なくなるので、間取りに工夫が見られません。打ち合わせ回数も少なく、工事も複雑な仕様がないので人件費が抑えられます。和室を提案するとコストが上がるので、間取りの中に入れないのがローコスト住宅です。材料が少ないので選べる間取りも少なく自由度が下がります。住んでみて自分たちの生活スタイルに合わないと後悔をする人もいるようです。
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デメリット③グレードが低くローコスト住宅だとわかってしまう
先ほどは外観の説明をしましたが、内装も安っぽさが目立ちます。ローコスト住宅は設備のグレードを低くするので、可もなく不可もなくといった特徴のない室内になりがちです。また、設備の数も少なくします。例えばキッチンには食洗器を標準にしません。吊り戸棚付もオプション仕様です。細かい設備を減らし価格を落とします。
グレードの高いキッチンは人造大理石などが標準ですが低いとシンプルです。シンプルなキッチンに設備も少なくなることから、安っぽく見えてしまいます。ユニットバスとトイレも同様です。
デメリット④建築基準法ギリギリの性能
ローコスト住宅と言っても、建築基準法の定めは当然クリアをしています。しかしギリギリの数値でクリアをしている可能性が高いです。
ココに注意
- 耐震性:耐震等級1
- 断熱性能:規定なし(断熱材が薄いもしくは無くてもクリア)
- 劣化対策:劣化対策等級1
- 省エネルギー対策:省エネ等級1
- 長期優良住宅:未取得
- 太陽光発電:未搭載
大手ハウスメーカーは、耐震等級3が一般的です。しかし建築基準法では、耐震等級1でも認められます。ギリギリの性能にすることで、ある程度の安全性を保ちながらコストを下げる仕組みです。
断熱材の使用も義務ではありません。コストを抑えるために最低限にすることも可能です。断熱材を薄くすることで遮音性も損ないます。当然ですが長期優良住宅の基準をクリアしません。太陽光発電はオプション仕様が一般的です。ギリギリの性能にすることでコストを抑えます。しかし建築基準法はクリアしているので問題はありません。ただ住み心地のよさは薄れます。
デメリット⑤施工の粗さが気になる
すべてのローコスト住宅に当てはまるデメリットではありませんが、施工が粗くなる住まいが建つかもしれません。一般的な注文住宅と異なり、粗くなる可能性が高まる体制がデメリットです。
ココに注意
- 人件費を抑えるため若い職人を増やす
- 工期を無理に短くする
- 確認を怠る
ハウスメーカーが下請けに無理な依頼をするかもしれません。無理を強いられた職人は、工期を守るため確認を怠ります。確認を怠ることで施工が粗くなるのです。
ココがダメ
- 外壁にキズがある
- 室内のコンセントをよく見ると傾いている
- 床鳴りがひどい
- 天井の漏水跡
上記の例はほんの一部です。施主検査で見つかればよいですが、見落とすこともあります。住み始めてからいろいろと気が付くかもしれません。人件費を無理に抑えることで、施工が粗くなる可能性が高いのもデメリットのひとつです。
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デメリット⑥光熱費が上がる
先ほど性能で説明をしましたが、断熱材が薄くなることで室内の心地よさが損なわれます。真夏や真冬は、すごしやすい室内にするためエアコンの使用頻度が上がるかもしれません。真冬は設定温度も高くなります。使用頻度と設定温度が光熱費を上げてしまうのです。
断熱性能と気密性能が低いと、光熱費以外の問題も発生します。
ココに注意
- 室内ごとの温度差がヒートショックの原因に
- 結露が発生しやすく室内にカビが見られる
- 室内に花粉やウイルスが侵入しやすい
上記のことから、光熱費だけでなく医療費が増えるかもしれません。とくに小さい子どもがいる家庭はカビによる喘息の発症が心配です。アレルギーなども含め、病気になるリスクが高まります。光熱費を抑えるためにも断熱性能にはこだわるべきです。住み始めてからの費用が高額になるかもしれません。
デメリット⑦火災保険の割引条件を満たさない
火災保険は構造によって「耐火建築物割引」が適用されます。ただローコスト住宅になると適用されない可能性が高いです。
ローコスト住宅の構造材は木造が一般的、火災保険の構造級別では「H構造」に該当します。H構造は一番保険料が高くなる構造です。しかし木造でも耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火建物のいずれかに該当する建物はコンクリート造と同等の扱いを受けます。木造で「耐火建築物割引」が適用を受けるには45分以上の外壁耐火時間性能が必要です。ローコスト住宅の多くは満たしていません。
また、地震保険の割引も同じです。「耐震等級割引」や「免震建築物割引」などが割引制度にはありますが、満たしている性能は最低限なので大きな割引は期待できません。
デメリット⑧劣化が早い
ローコスト住宅は劣化が早いといったデメリットを持っています。メンテンス費用が高額になりがちです。先ほど外壁にはコストが安い窯業系サイディングボードの採用が多いと説明をしましたが、デメリットがいくつかあります。
ココに注意
- サイディングボード自体に防水機能がない
- 熱を蓄積しやすい
- シーリングのメンテンスが必要
サイディングボード自体に防水機能がないため塗装で補います。塗装が剥がれると防水機能が弱まるので、塗り替えをしなければいけません。10年に一度は再塗装が必要です。合わせてシーリングのメンテンスも行います。他の外壁材と比較をするとメンテンスの頻度が多く、手間がかかるのがデメリットです。
屋根材に採用されることが多いスレートも、こまめなメンテンスが必要になります。耐用年数は15年から20年です。瓦屋根は50年以上なので、圧倒的な違いがあります。
適正なメンテンスをせず放置をすると自然災害で被害を受けた時に後悔をします。台風などで雨漏りが発生した場合は自然災害なので火災保険の適用が受けられますが、条件に適切なメンテンスが求められているのです。外壁の再塗装を放置すると、大きな台風で雨漏りが発生しても火災保険がおりないかもしれません。
劣化が早いので適切なメンテンスが必要です。メンテンスを怠れば被害が拡大します。
デメリット⑨こだわりを入れるとオプション仕様で高額になる
デメリットを回避するため、オプション仕様を選択するとローコスト住宅ではなくなります。オプション仕様により、一気に価格が高額になるかもしれません。
口コミでは、次のような経験をされた人が多く見られました。
このような経験
- ローコスト住宅のハウスメーカーで足りないところをオプション仕様にしたら1,800万円になった。
- 知名度の高い大手ハウスメーカーで規格住宅の見積もりをだしたら2,000万円になった。
- 200万円の差額異常のパフォーマンスが大手ハウスメーカーに見られた
「ローコスト住宅あるある」です。ローコスト住宅でこだわりをいくつも入れると、あっという間に価格は高くなります。結局ローコスト住宅とは呼べない価格になるのです。だったら初めから大手ハウスメーカーの規格住宅を選ぶ方が、さらに設備は充実すると言った口コミが多く見られます。
ローコスト住宅で相談をするときはオプション仕様に注意が必要です。
デメリット⑩ハウスメーカーの保障内容が最低限
ローコスト住宅は、保証内容を必要最低限にしているハウスメーカーが多いです。すべての新築には10年間の保障が付いています。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により定められているので絶対条件です。ローコスト住宅を手掛けるほとんどのハウスメーカーは、法律で定められた10年しか保証を付けていません。
20年や30年の保証を付けるハウスメーカーもありますが、条件に10年毎の有償メンテナンスを追加しています。メンテンスを受けなければ保障は最低限の10年です。大手ハウスメーカーは、初期保証で30年を適用します。有償メンテナンスは関係なしに初期保証で20年や30年を標準とするのです。
価格を安くしているので長期保証は難しいかもしれませんが、最低限の10年しか付いていないのはデメリットといえます。
まとめ
「ローコスト住宅のデメリット10選」を解説しました。今回紹介した10選をすべて採用しているローコスト住宅が1,000万円以下の建物価格を実現します。少しでもこだわりを増やすと価格が上昇していくのです。完全なるローコスト住宅を求めている人は、できるだけ安いハウスメーカーや工務店を選びましょう。今回のデメリットを見て「このデメリットだけは避けたい」と思われる項目があった人は、避けられるハウスメーカーに相談をします。外観は良くしたいと思えば、タイルを標準装備にしているローコスト住宅を選択する方法です。
何かしらのこだわりを持つ方が楽しく注文住宅を建てられます。今回のローコスト住宅のデメリット10選を、こだわりポイント探しに役立ててください。