「床暖房」は知っている人が多くいますが、「床下暖房」はあまり聞いたことがありません。字は似ていますが2つは暖め方に違いがあります。違いにより、メリットとデメリットも異なるのです。
「今まで床暖房を設置するかで悩んでいたから、床下暖房の登場で悩みが増えた」と話す人もいます。選択肢が増えるのは良いことですが、情報を集めなければいけません。
まずは2つの違いを確認し、知名度の低い「床下暖房」のメリットとデメリットを確認しましょう。比較をすることで、家族にとってより良い設備を選択するべきです。
そこで今回は「床下暖房のメリット&デメリット10選!」の解説と、「床暖房との違い」を合わせて紹介します。床下暖房で悩んでいる人は参考にしてください。
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目次
床下暖房と床暖房の違い
「床下暖房」と「床暖房」の共通点は下から暖めること、商品名に「床」が付いているので、一般的なエアコンによる暖め方とは違います。最近の住まいは解放感を求めるため、天井が高いリビングが増えました。
暖かい空気は上に行くので、床から暖まる暖房機器は、開放感のある家にとって理にかなった暖め方です。ただ暖め方に違いがあります。
- 床下暖房:床下の空間を暖める
- 床暖房:床自体を暖める
詳しく解説します。
床下暖房とは?
床下暖房は、床下の空間を暖めます。
床下の空気を暖めることで室内温度を上げ、輻射熱により足元から心地よい暖かさを得ることができる設備です。床下暖房を設置するには次の条件を満たしていなければいけません。
- 高断熱高気密
- 基礎断熱(床下を室内空間としてとらえ、基礎内部を断熱材で覆る施工法)
- 床下が暖まる暖房機器を設置
最近は高気密・高断熱の住まいをウリにするハウスメーカーも増えてきました。
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効率的に居住空間を快適にするので、もはや当然とも言える仕様です。基礎断熱は、寒冷地用の汎用技術として採用された工法、「床断熱」と違い換気口の設置が必要ありません。
床下への暖房機器に関しては選ぶことができます。
- 暖房機:「FF式ストーブ」「エアコン」など
- 放熱器:「温水ボイラー」「パネルヒーター」「土間蓄熱暖房」など
エアコンは、通常の壁かけエアコンを低い位置につけ、床下に暖気が流れるようにすれば利用できます。床置き型エアコンもありますが金額が上がるので、床下暖房を設置するときは暖房機器の検討をしましょう。
床暖房とは?
床暖房は床自体を暖めます。床が暖まることで居住空間の空気を暖める設備です。床を直接暖める主な方法は次の2種類から選べます。
- 温水式:電気、ガス、灯油のいずれかで暖められた温水が床下の配管を循環する
- 電気式:電気ヒーターを利用してホットプレートのように暖める
最近は温水式が主流です。お湯で暖まる方が、イメージ的にも心地よさが伝わります。床下暖房同様、床暖房の効き目を良くするため高気密・高断熱の住まいが理想です。
床下暖房のメリット&デメリット10選
床下暖房のメリット&デメリット10選は次のとおりです。
メリット5選
- 床材に無垢材を採用できる
- 快適
- 床暖房よりもコストを抑えることができる
- 低温やけどの不安がない
- 無風なのでホコリが飛散しない
デメリット5選
- 空気が乾燥する
- 基礎断熱を採用するためシロアリ対策が必要
- 基礎断熱を採用するためカビ対策が必要
- 点検口や取り出し口の設置が必要
- 暖まるのに時間がかかる
詳しく解説をします。
メリット①床材に無垢材を採用できる
床下暖房は、床材を自由に選ぶことができます。
床暖房のデメリットは床材の選択肢が限られること、床を直接暖めるので無垢材だと収縮や反り、割れなどが生じるかもしれません。しかし空気を暖める床下暖房ならば無垢材も採用可能です。無垢材には次のようなメリットがあります。
- 本物の木から伝わる質感とぬくもり
- 香りによるリラックス効果
- 熱伝導率が低いので体温が奪われない
無垢材から得られるリラックス効果は科学的に証明されています。多くの人が採用をしたいと考えますが、床暖房では不可能でした。しかし床下暖房ならば問題ありません。
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ただ最近は、床暖房でも寸法安定性を高める処理を施した無垢材ならば利用ができると言われています。しかし今まで「無理」と言われていたものが、急に大丈夫と言われても不安です。床暖房で無垢材を採用するには、まだまだ時間が必要とも言えます。
「足元から暖めたい」「無垢材のリラックス効果がほしい」といった2つの希望をかなえるのならば、床下暖房がおすすめです。床材の自由度が高いのは床下暖房のメリットと言えます。
メリット②快適
床下暖房の暖め方は床下からの「輻射熱」、体の芯から暖まります。エアコンは「対流」を利用して部屋を暖める方法です。「対流」よりも「輻射熱」の方が、心地よさが高まります。
太陽の厳しい暑さは心地よいと言えませんが、冬のちょっとした陽だまりは心地よい場所になりませんか。床下暖房は温度が調整できるので、同じような効果が期待できます。
快適なのは床下暖房のメリットです。エアコンのように、表面だけが暖まる方法とは違います。体の芯から暖まることができるのです。
メリット③床暖房よりもコストを抑えることができる
床下暖房は、床暖房よりもコスト面を抑えることができます。床下に温風が届くようエアコンを1台設置するだけで、十分に暖めることができるのがメリットです。
2階も暖めたいのならば、2階専用の床下暖房用のエアコンを設置するだけ、2台で家中が暖まります。
- 床暖房のように床全体を工事する必要がない
- 暖房費はエアコン2台分のみなので抑えられる
- 万が一修理が必要になったとしてもエアコンを買い直せば良い
各部屋にエアコンを設置して暖めるよりも、全体を暖める床下暖房の方が効率は良いです。床全体に管を張り巡らす必要もないので、設置コストも抑えられます。
万が一故障をした場合でも、床暖房より修理費が抑えられるのもメリットです。
全体的に床暖房よりもコストが抑えられます。
メリット④低温やけどの不安がない
床暖房が原因で、子どもが低温やけどをしたという事故も多く見られました。設定温度を上げすぎることで低温やけどのリスクが生じます。
また、いつのまにか昼寝をしていたことで、長時間皮膚が床面に触れ低温やけどをした事例もありました。
夫が酔っ払い、そのまま寝たことで皮膚が真っ赤になったなどの情報もあります。大人でも低温やけどの可能性があるのです。
床下暖房は、床を直に暖める設備ではありません。長く床に座っていても低温やけどを起こさない安全性の高さがメリットです。
メリット⑤無風なのでホコリが飛散しない
床下暖房は、室内を無風で暖める設備なので次のようなメリットがあります。
- ホコリが飛散しない
- ダニやペットの毛が飛散しない
- 臭いが充満しない
床下暖房は、無風に近いのでホコリやダニが飛散しません。ホコリやダニは、アレルギー性の喘息を発症させる可能性が高まります。
また風で室内を巡回させると、キッチンの臭いが家中に広がります。おいしそうな臭いならば良いのですが、焼き肉をしたあとなどの臭いを不快に感じる人も居るはずです。
床下暖房は、上記のような不快になる状況を防げます。室内環境を良くするのも大切なメリットです。
デメリット①空気が乾燥する
床下暖房を利用することで、室内温度が上昇し部屋中が乾燥します。空気が乾燥をすると、肌荒れや喉がイガイガするかもしれません。
エアコンのように気流を発生させるわけではありませんので乾燥は抑えられていますが、高気密・高断熱の住まいと温度の上昇により乾燥がひどくなる可能性が高いです。
床下暖房を利用する際の次の対策を施しておきましょう。
- 加湿器を利用する
- お湯を入れた洗面器を室内に置く
- 選択物を室内干しで乾かす
肌の乾燥によりアトピーが発症する人もいます。床下暖房に限らず、暖房機器は室内を乾燥させるデメリットがあるので、十分な対策が必要です。
デメリット②基礎断熱を採用するためシロアリ対策が必要
床下暖房は基礎断熱を施さなければいけません。基礎断熱にはメリットがたくさんあるのですが、デメリットもあります。デメリットのひとつが基礎内へ入り込むシロアリです。
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断熱材の中を通り柱に到達するシロアリは、発見が遅れる可能性があります。目視では発見できない場所に侵入されるからです。防ぐためには、シロアリ対策をしっかりと行う必要があります。
ただシロアリ予防剤を塗布する方法は問題が発生するかもしれません。床下暖房はエアコンの温風で床下を暖めます。
薬剤を風によってまき散らすと、シックスハウス症候群を引き起こす可能性も高いことから別の対策が必要です。長期優良住宅が受けられない可能性もあります。
床下暖房を利用するときは、施工する注文住宅メーカーにシロアリ対策の確認をしておきましょう。希望をよく伝えることでデメリットを回避します。
デメリット③基礎断熱を採用するためカビ対策が必要
床下暖房は床下を乾燥状態に保てると説明をするハウスメーカーもありますが、利用していないときは基礎断熱のデメリットにより、1年~2年程度は水蒸気が発生します。コンクリートの水分が抜き切れていないことが原因です。
水蒸気によりカビが発生するリスクが高まります。ただ、最初の1年~2年で水分は抜け切るので、その後は問題ありません。気になるのは建ててからの2年間です。
季節によっては長期間にわたり床下暖房を利用しない時期もあります。換気経路を設計しておくなどの対策も必要です。
デメリット④点検口や取り出し口の設置が必要
床下暖房のメンテナンスを行うための、出入口を設置しておかなければいけません。
床下は、すぐに汚れがたまるので、定期的に掃除機や拭き掃除をするなどのメンテナンスも必要です。
また、一般的な位置にエアコンが設置されていることで邪魔と感じたことはありますか?頭よりも高い位置に設置するので、気にする人はあまりいないはずです。
しかし、床下暖房の場合は、足元にエアコンを設置します。階段下など、普段は見えないように工夫を施しながら設置をしなければいけません。設置場所の確保も必要です。設置場所を複雑にすると、万が一の故障対応が大変になります。
利用を維持するためにも、掃除や点検をするための点検口や取り出し口を設けておかなければいけません。
しかし定期的に掃除をしなければすぐにホコリがたまります。エアコンの故障にもつながりかねません。点検口や取り出し口の設置が必要など、メンテナンスや掃除に関してはデメリットです。
デメリット⑤暖まるのに時間がかかる
床下暖房のデメリットは暖まるのに時間がかかることです。
一般的なエアコンは室内を早く暖めますが、床下暖房は床下の空気を暖めてから室内にいきます。季節によって長期間利用しない時期があれば、暖まるまでに5~6時間程度の時間が必要です。
また、エアコンの温度を上げても、普通の壁かけと違い温度は急変しません。
ただ床下暖房は、寒い時期に連続運転で利用することが前提の設備なので、急な温度変更を必要としないのも特徴のひとつです。24時間暖房をすることで、蓄熱効果が得られるようになれば安定します。
最初のうちは温度調整も大変かもしれませんが、使ううちに慣れてくるはずです。
暖まるのに時間がかかるデメリットはありますが、連続運転で回避ができます。季節の変わり目だけのデメリットです。
まとめ
「床下暖房のメリット&デメリット10選!」の解説と、床暖房との違いを紹介しました。床下暖房の最大のメリットはコストが抑えられることです。
床暖房は、設置費が高すぎるデメリットを持っています。また万が一の故障の際も、修理費が高額になるかもしれません。
床下暖房ならばエアコンの費用だけで済むので、コストを抑えることができます。一概にどちらがいいとは言えませんが、暖め方の違いを知ることで判断がしやすくなるはずです。低温やけどのリスクも考えて検討をしましょう。
床下暖房があまり知られていない原因に、床暖房よりも安いことが理由と話す人もいます。ハウスメーカーの利益を考えると、床暖房の設置の方がうまみはあるそうです。
床下暖房と床暖房で悩まれている人は、コスト面を重視している人ではないでしょうか。もしコストを気にしているのならば床下暖房がおすすめです。