「トリプルガラス」を標準仕様にするハウスメーカーや商品も増えてきました。名称に「トリプル」を利用しているので、性能に優れていることは何となくわかります。ただ「何となく」だけでは不安です。家づくりは高額な買い物、後悔をしないためにも詳細を知ってからの決断が必要ではないでしょうか。
「トリプルガラスって何?」で悩まれている人はメリットとデメリットを確認しておくべきです。住まいの断熱性能にこだわるのならば断熱材だけでなく、開口部にもこだわりを持ちましょう。
そこで今回は「トリプルガラスってどう?メリット、デメリット10選」を解説します。窓のガラスで悩まれている人は参考にしてください。
目次
トリプルガラスとは?
トリプルガラスとは、3枚のガラスの間に空気層を設けた複層ガラスのことです。3枚のガラスと2つの層が窓の性能を高めます。性能の高さが多くのメリットを生むのです。
窓にはトリプルガラスの他に、次のガラスが主に採用されています。
- 単板ガラス:一般的な1枚のガラスで作られた窓
- ペアガラス:2枚のガラスの間に空気層を用いた合わせ窓、トリプルガラスと同じ複層ガラス
- LOW-Eガラス:ガラスの表面に特殊な金属膜をコーディング、断熱タイプと遮熱タイプがある
「LOW-E複層ガラス」は特殊コーディングされたガラスを組みあわせた窓のこと、3枚組み合わせれば「LOW-Eトリプルガラス」となり性能が格段に上がります。ガラスの枚数を増やすのですから、性能が上がるのは当然です。それに伴いメリットとデメリットが発生します。
トリプルガラスのメリット、デメリット10選
トリプルガラスのメリット、デメリット10選は次のとおりです。
- 優れた断熱性能
- 結露が発生しにくい
- 優れた遮音性
- ガラスの種類で性能をアップ
- 優れた防犯性
- 快適な生活空間の実現
- 価格が高い
- 重い
- ガスが抜ける
- トリプルガラスの採用で後悔した内容の口コミがある
詳しく解説をします。
メリット①優れた断熱性能
トリプルガラスのメリットと言えば断熱性能に優れていることです。冷暖房機器で作られた室内の快適な温度は外気と隣接する壁や屋根、そして窓から失われていきます。室内を快適な空間にするためには、開口部である窓へのこだわりが重要です。トリプルガラスは次の方法で室内の熱を逃がしません。
ココがメリット
- ガラスの間に封入された「アルゴンガス」または「クリプトンガス」が熱を通さない
- ペアガラスの2枚よりも、ガラス3枚の方が断熱性に優れるのは当然
- LOW-Eガラスの採用でさらに性能を高める
トリプルガラスは空気よりも熱を通しにくい「アルゴンガス」か「クリプトンガス」のどちらかを採用します。より性能の高い気体は「クリプトンガス」です。ただし「アルゴンガス」を採用したトリプルガラスよりも価格が高額になります。
地域によってはペアガラスでは不十分かもしれません。北海道はトリプルガラスの需要が高いです。外気の影響をおさえられるトリプルガラスを選択する人が多いことからも、断熱性に優れていることがわかります。
冬場、ペアガラス窓の近くに行くとひんやりしますが、トリプルガラスのそばでは気にならないといった体験談も見られました。室内の温度が同じでも窓に近づいたときの体感温度で差が見られます。
トリプルガラスの最大メリットは断熱性に優れていることです。快適な住まいを実現したい人はトリプルガラスの検討をおすすめします。
メリット②結露が発生しにくい
トリプルガラスは結露が発生しにくいメリットを持っています。結露が発生する原因は温度差です。断熱性能がメリットにより結露の発生も防いでくれます。
結露は住まいの大敵です。放置することで次のリスクが発生します。
ココがリスク
- カビが生える
- カビをエサにするダニが増える
- カビとダニが原因で、家族に喘息が発症する
- カビ臭い部屋になる
- 住まいの耐久性が損なわれる
トリプルガラスを採用すれば、上記のリスクにより健康被害が発生することを防げます。家族の健康が守られるのは大きなメリットです。トリプルガラスが、快適な暮らしを実現してくれます。
メリット③優れた遮音性
トリプルガラスは遮音性にも優れています。外部の音が気にならない暮らしはメリットです。
ガラスが3枚利用されているのですから、音が漏れないのは想像できます。遮音性に優れた住まいはメリットの宝庫です。
ココがメリット
- バイク、車、電車など外の音が気にならない
- 近所に住む人との騒音問題が発生しない
- こちらがだす音も外に漏れない
騒音問題により近所トラブルが発生するケースも多く見られます。快適な住まいとは、近所トラブルがない状況も含まれるのです。室内が快適でも、近所からの嫌がらせがあれば快適とは言えません。トラブルが発生しにくい住まいにするのも快適な家づくりの条件です。
最近は在宅ワークをする人も増えました。昼夜が逆の仕事をする人もいます。遮音性に優れた家は、仕事で疲れた体を休めるのにもうってつけです。休めたことで、翌日の仕事で素晴らしいパフォーマンスが発揮できます。
優れた遮音性は、多くのメリットをもたらす大切な性能です。小さい子どもの昼寝にも活躍します。遮音性を求めている人にはトリプルガラスがおすすめです。
メリット④ガラスの種類で性能をアップ
トリプルガラスは、採用するガラスの種類で性能がアップするメリットがあります。住む地域に合わせたガラスを採用することができるのです。例えば「Low-Eガラス」は、先ほども説明したとおり、次の2つの性能から選ぶことができます。
- 断熱タイプ:適度に太陽熱をカットすることで冬場でも日だまりのような暖かさ
- 遮熱タイプ:夏場の遮熱対策
「Low-Eトリプルガラス」を採用すれば、「断熱性」と「遮熱性」の2つの性能に優れた窓にできます。採用するガラスの種類によって性能をアップができるのです。また、「クリプトンガス」を採用すればさらに性能がアップします。
住む地域の特性によって窓を選ぶことができるのです。ただし、トリプルガラスを採用しているハウスメーカーでは、規格が決まっている場合もあるので注意をしましょう。ガラスの種類にこだわれないケースもあります。
メリット⑤優れた防犯性
厚みのある窓が優れた防犯性を発揮します。家族の安全を守ってくれる窓はメリットです。空き巣の侵入経路に利用される可能性が最も高いのが窓、強化することで防犯性が向上します。
普通のトリプルガラスでも強固ですが、防犯フィルムと一体になっている商品もあるので、気になる人は相談することも可能です。
メリット⑥快適な生活空間の実現
トリプルガラスを採用すれば、快適な生活空間が実現します。他の窓と比較をしても、性能の高さがずば抜けているのです。毎日が過ごしやすくなるのは間違いありません。
- 優れた断熱性能で快適な毎日
- 断熱性能がヒートショックを予防
- 結露が発生しないことで健康の維持ができる
- 遮音性の高さがストレスフリーの生活を実現
- 防犯面の高さが安心という快適を生む
住環境に、できるだけ快適さを求めたいと思われるのは当然です。住まいは家族が笑顔になれる場所でなければいけません。トリプルガラスは、そんな願いをかなえる手伝いをしてくれる窓です。快適な生活空間を求めている人はトリプルガラスを採用しましょう。
デメリット①価格が高い
今まで多くのメリットを紹介してきましたが、性能が高いということは価格も当然のように高くなります。トリプルガラス最大のデメリットは価格が高いことです。すべての窓をトリプルガラスにしたら100万円以上の費用を覚悟しなければいけません、より高性能のトリプルガラスを採用したら、さらに金額は上がります。
例えば「クリプトンガス」の方が性能は高いです。そのため「アルゴンガス」よりも価格は高額になります。「Low-Eガラス」も同様です。「Low-Eガラス」をトリプルガラスに採用すれば高額になります。しかし、トリプルガラスを採用することで次のコストが削減できるかもしれません。
- 電気代などのランニングコスト
- 冷暖房機器などの購入費用
- 快適な健康住宅になるので医療費の削減
断熱性能が向上するので、ランニングコストが削減できます。エアコンの使用頻度が低くても快適な室内になるのが高断熱住宅の特徴です。カビによる喘息、ダニによる皮膚の病気、ストレスによるうつ病など、快適な住まいならば発症するリスクがだいぶ低くなります。
将来的に医療費が抑えられるなど、コストパフォーマンスに優れていることから、一概に高額とは言えません。価値観の問題ですが、トリプルガラスは購入するだけの魅力がある設備です。
デメリット②重い
トリプルガラスは3枚もガラスを利用する贅沢な窓です。重量も重くなります。窓の開閉が大変と感じるかもしれません。
トリプルガラスを採用する場合は、「取っ手」「窓枠」「サッシ」など、スムーズな開閉が期待できる工夫が必要です。工夫を施さなければ子どもの開閉は一苦労、将来的に年老いてからも苦になります。
費用は上がりますが、重いというデメリットを解消できるだけの工夫が必要になります。
デメリット③ガスが抜ける
トリプルガラスの間にある空気層のガスは、微量ではありますが年々抜けていくと言われています。ガスが抜けることで、トリプルガラスの性能が落ちていくのです。さらにガスが抜けることで窓に歪みが生じます。外から見たとき違和感を覚えるかもしれません。性能と見た目の変化はデメリットです。
空気層の中のガスが抜け、変わりに水分を含んだ空気が入り込み内部結露が起きるのです。内部結露が発生した複層ガラスは、一気に性能が落ちるので交換が必要になります。
また「クリプトンガス」よりも「アルゴンガス」の方が、ガス抜けによる性能低下幅が低いようです。性能は「クリプトンガス」の方が高いですが、ガス抜けと価格面については「アルゴンガス」が勝っています。
トリプルガラスを作成するメーカーなどにより耐久性は異なるようです。一概にどこのメーカー良いとは言えませんが、ガスが抜けたら変えないといけないことを覚えておきましょう。
依頼をするハウスメーカーがトリプルガラスを採用しているのならば、ガス抜けなどによる寿命などを聞いておくと良いかもしれません。ガラスを変えるとなると、かなり高額な費用がかかります。ならペアガラスにしようと思われるかもしれませんが、ペアガラスでもガス抜けは起こるので解決にはなりません。
複層ガラスのガス抜けには十分に注意をしましょう。
メリットで上げていた性能が半減以下に落ちてしまいます。
デメリット④トリプルガラスの採用で後悔した内容の口コミがある
トリプルガラスを採用した人の中で後悔をする人もいます。後悔の多くは「トリプルガラスでなくても良かった」という声です。性能が高いトリプルガラスを、わざわざ利用するような地域ではなかったことに後悔をしています。
「トリプルガラスの採用で後悔をした口コミ」
- 東京で注文住宅を建てましたが、正直トリプルガラスでなくても良かったのでは?と思っています。もっと別のところにお金をかければ良かった。
- 1階はトリプルガラス、2階はペアガラスを採用しましたが、正直違いが分かりません。2階も十分快適です。トリプルガラスにした意味はなんだったのだろう。
建てる地域によって異なるので一概に参考になるわけではありません。しかし建てるエリアによっては、トリプルガラスは高性能すぎるといった口コミがありました。トリプルガラスの需要が最も多いのは北海道です。トリプルガラスを採用するときは次の点を営業マンに確認しましょう。
- 全ての部屋にトリプルガラスが必要なのか
- そもそもトリプルガラスの性能が必要なエリアなのか
- Low-Eトリプルガラスでなくても大丈夫なエリアではないのか
地域密着型の工務店に相談をするとわかりやすい回答が得られます。トリプルガラスの最大デメリットは価格です。設置するほどのエリアでない人にとっては後悔の設備になるかもしれません。採用に関しては熟考が必要です。
まとめ
「トリプルガラスってどう?メリット、デメリット10選」を解説しました。トリプルガラスは住まいの快適性を高めるメリットがある設備です。優れた断熱性能で、住まいに多くのメリットをもたらします。
しかし優れた性能だからこそ価格面がデメリットです。トリプルガラスを採用したことで一気に価格が上がることもあります。
トリプルガラスの採用については、地域性を踏まえて考えることがおすすめです。すべての人に「トリプルガラスを採用するべき」とは言えません。メリットとデメリットを確認して、自分たちの住む場所に取り付けるべき設備なのかを、信頼のできる営業マンに相談しましょう。