「引き込み戸」や「引き戸」など、似たような言葉が並ぶと整理がつかず訳が分からくなることでしょう。扉で悩んでいる人は、いったん整理をするべきです。
開き戸と引き戸は明確に違います。しかし引き込み戸と引き戸にどのような違いがあるのでしょうか。メリットやデメリットも気になります。「なんだかわからなくなってきた」と思った人は、引き込み戸と引き戸の違いやメリットとデメリットを確認しましょう。
そこで今回は「引き込み戸とは?引き戸との違いやメリット・デメリット10選」を解説します。引き込み戸で悩まれている人は参考にしてください。
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目次
引き込み戸とは?
引き込み戸とは、横に引いて扉を開けたとき戸袋に戸が隠せるスペースを確保した戸のことです。
戸袋とは、引き戸の扉が収納される箱状の部分を指します。
戸の収納枚数が2枚以上でも、箱状で戸が隠せるのならば戸袋です。昔は雨戸に利用されていました。最近はシャッターを採用する注文住宅が増えましたが、昔ながらの日本家屋には雨戸が似合います。戸袋の中で扉を上手にずらすことで、複数枚の雨戸を収納しました。
引き込み戸と引き戸との違い
引き込み戸と引き戸の違いは、人によって異なります。ただ性能から考えると、引き込み戸は引き戸の中の1つの種類と考えるのが妥当です。
引き戸とは、レールもしくは吊るされた戸をスライドさせて開閉する扉のことを指します。引き込み戸と同じ性能です。異なるのは戸袋の存在、引き戸に戸袋が設置されているのを引き込み戸と呼びます。
引き込み戸と引き戸の違いを分かりやすくするために、引き戸の種類や戸の収納方法を確認しておきましょう。
引き戸の種類の違い
引き戸の種類は次の4つです。
- 片引き戸
- 引き違い戸
- 引き分け戸
- 引き込み戸
片引き戸
片引き戸は、その名のとおり片側に開閉する引き戸のことです。開けたときに戸が邪魔になりません。玄関や子供部屋の出入り口に採用されることが多い引き戸です。
リビングに設置する場合は、連動方式を採用する場合もあります。引き戸の中でもシンプルな戸なので、頻繫に採用されるのが特徴です。片引き戸に戸袋が付けば引き込み戸になります。
引き違い戸
引き違い戸は、2枚以上の戸と2本以上の溝で引き戸を設置するタイプです。片引き戸と違い、すべての戸が左右に動きます。戸を溝の中央に並べれば、左右に間ができる引き戸です。昔は押し入れなどに利用されていました。戸が開ける位置が選べるので、収納の出し入れに役立ちます。
和室の障子で採用されることもありました。別々の人が両側から同時に左右別の戸を開けると、逆から開いた戸にぶつかる危険もある引き戸です。複数の溝や戸を利用するので、引き戸よりスペースを必要とします。扉を全開放していても、戸袋がないので必ず戸が見えるタイプの引き戸です。
引き分け戸
引き分け戸は、1つの溝に2つの戸を設置するタイプの引き戸です。片引き戸が左右に2つ設置したような見た目なので、必要なスペースも広くなります。戸が左右に別れるので、扉を全開放したときに開放感が得られるのがポイントです。
引き戸は、解説した3つに引き込み戸を加えた4種類の中から選びます。ただし、扉の収納方法に関しても引き込み戸の名前が利用されているので注意をしましょう。
戸の収納方法の違い
引き込み戸の収納方法は、主に次の3種類に分けられます。
- インセット
- アウトセット
- 引き込み戸
インセットは、扉を開けたときの戸が壁の厚み内に収まるタイプの収納方法です。壁にくぼみがあり、戸が閉まっているときは壁に段差が見られます。
アウトセットは壁の外側で扉を開閉するので、戸が収納できないという言い方が適切かもしれません。インセットと違い、戸を収めるために一部の壁を薄くする必要がないタイプです。
引き込み戸は、先ほども説明したとおり両方に壁を作る戸袋を設置します。
「片引き戸」と「引き分け戸」のいずれかで引き戸を設置する場合は、上記の中から戸の収納方法を選択するのが一般的です。引き分け戸で戸袋を設置するタイプはあまり見られません。
昔は長い縁側に設置された複数の雨戸を収納するために、両方へ戸袋を設置することもありました。ただ最近はあまり採用されていません。そのため、引き戸で戸袋を設置するタイプを引き込み戸と呼ぶのが一般的です。
引き込み戸のメリット・デメリット10選
引き込み戸のメリットとデメリット10選は次のとおりです。
ココがメリット
- 見た目が良い
- 戸袋を壁と認識できる
- 開閉時が安全
- バリアフリーに向いている
- 柔軟な開放感
ココがデメリット
- 戸袋の中に物が入ると面倒
- 戸袋の中の掃除が面倒
- 隙間ができやすい
- スペースが必要
- 戸袋のある壁に設置できないものがある
詳しく解説をします。
メリット①見た目が良い
引き込み戸のメリットは見た目が良いことです。開き戸や別の引き戸にはない見た目の良さが引き込み戸にはあります。
開き戸は人気の扉です。採用される人が多くいろいろなデザインが用意されていますが、取っ手が気になります。取っ手が邪魔になるケースも少なくありません。引っ越し時に取っ手が邪魔で戸を外す羽目になったなど、出っ張りがいろいろと面倒です。
引き込み戸は壁の中に戸が収納されるので、他の引き戸と比較をしても見た目がスマートでスッキリします。
リビングと和室の間に引き込み戸を設置する場合を想像しましょう。両面のデザインを変更すれば、各々にあった戸になります。和室側は障子のようなデザインにし、リビング側は洋室にあうデザインを採用する方法です。両方に適したデザインの戸が設置できます。和室に開き戸は向きません。
壁の中に戸が納入できる引き込み戸は見た目が良いです。室内のデザインにこだわりを持っている人におすすめします。
メリット②戸袋を壁と認識できる
戸袋は外側から見れば壁と変わりません。引き違い戸は全開放しても戸が見えます。扉付近へ物を置くことに、ためらいがでるかもしれません。周囲に家具や電化製品の設置がしやすいのは引き込み戸です。
戸の収納にアウトセットを採用した場合は家具などへの配慮が面倒、設置した家具が利用するたびにだんだんと後ろへズレます。いつの間にか家具と戸がぶつかるかもしれません。破損をしたら面倒です。
戸袋は壁と認識して問題はありません。戸の開閉を気にすることなくレイアウトが考えられます。引き込み戸は、他の引き戸よりも自由度の増す扉です。
メリット③開閉時が安全
引き込み戸は開閉時が安全な扉です。小さい子どもがいても安心して利用ができます。
開閉時が安全
- 片引き戸:開閉したとき逆側の人を挟む危険
- 引き違い戸:左右に動く自由度が危険
- 引き分け戸:開閉したとき逆側の人を挟む危険
- 開き戸:開閉したとき向かい側の人にぶつかる危険
引き込み戸は、戸が戸袋に収納されます。万が一、戸の動く先に別の人が手を置いていた場合でも、挟む心配はありません。戸袋は壁です。足の指を挟むといった事故も起きないメリットがあります。引き込み戸は安全性を高めるため、閉まる直前にゆっくり動く機能を備えた戸も増えました。小さい子どもがいる家庭には引き込み戸の安全性がおすすめです。
メリット④バリアフリーに向いている
引き込み戸はバリアフリーに向いています。安全性に関しては先ほど説明をしましたが、小さい子どもやお年寄りに対して一番利用しやすい扉は引き込み戸です。車いすや松葉杖を利用する場合でも、無難に開閉作業ができます。
開き戸は明らかに大変な扉です。戸を開ける際にスペースを確保するなど、余分な動きが必要になります。車いすを利用する人には大変なことから、入院病棟であまり採用されない扉です。
引き戸は、多くの病院で採用をされています。引き分け戸や引き違い戸は、閉める時が大変です。特に引き違い戸は、ちょうどよい場所に戸をずらさなければ、左右に間が生じます。怪我をしているときは面倒です。
引き込み戸は、床も平らになり開閉も簡単にできる扉、バリアフリーに向いているのは間違いありません。将来性を考えるのならば、引き込み戸がおすすめです。
メリット⑤柔軟な開放感
引き込み戸は、扉の中で一番の開放感が得られます。開き戸と違い、少し開けるなどの工夫もしやすい扉です。
たまに引き込み戸は戸袋が必要なので、開放感が低くなると勘違いをする人もいます。壁をつくらない場所に、戸を3枚利用した引き戸の設置をした場合で比べてみましょう。引き違い戸を設置した場合でも、開閉時は必ず1枚分の戸が残ります。引き込み戸の戸袋と同じです。
また、戸の数がレールよりも増えれば、増えた分の扉が全開放のとき残ります。2つの溝しかない引き違い戸だと、3枚分を重ねられません。2枚分の戸が開放感の邪魔をします。引き分け戸は1つの溝で複数の戸を異動させるので、引き込み戸より開放感はありません。
戸袋を設置することで勘違いしやすいですが、リビングと隣接する部屋の開放感を一番発揮できる扉は引き込み戸です。少しだけ開けるなどの工夫もできます。柔軟な開放感が得られるのはメリットです。
デメリット①戸袋の中に物が入ると面倒
引き込み戸でよく言われるデメリットが戸袋の存在です。戸袋の中に物が入り込むと出すのに一苦労、あらかじめ戸袋の隙間が通せる棒を用意しておかなければいけません。
子どもがビー玉を戸袋の中に入れてしまい、開けたときに戸袋の奥で破損したといった経験談もありました。「インセット」や「アウトセット」では起きない事故です。
他にも、ドアの閉まり具合が悪いと思い調べてみたら、ヘアピンが溝に挟まっていたという内容もありました。戸を開けた時に溝に落ちたヘアピンを戸袋の中へ引き込んだみたいです。戸がカチッと戸袋の中で固定されるタイプの引き込み戸だと、中途半端なしまり具合が気になります。細長い棒を加工して溝を調べたらヘアピンが原因とわかったそうです。
戸袋の中に何かが入り込むのは引き込み戸のデメリット、何かしらの対策をしておかなければいけません。
デメリット②戸袋の中の掃除が面倒
戸袋の中に入り込むのは物だけではありません。ホコリも戸袋の中にはたまります。溝にホコリがたまれば、開けた時に戸袋へ引き込まれるのです。日を追うごとに戸袋の中のホコリは増えていきます。
「インセット」や「アウトセット」なら掃除は簡単です。溝が壁の中に隠れていません。壁の中に隠れてしまう引き込み戸だからこそのデメリットです。
物が入ったときと同様に、何かしらの用意をしておきましょう。一般的に利用されるのは細長いほうきです。長い定規に布を巻き付ける方法もありますが、万が一布が取れると取り出す手間がかかります。
ただし、基本的に毎日部屋の掃除をしていれば、室内の戸袋にホコリがたまることはありません。
デメリット③隙間ができやすい
引き込み戸は、隙間ができやすい扉です。開き戸と比較をすると、気密性と遮音性に劣ります。寝室の扉に採用されにくい理由は隙間です。閉まっていても、戸と戸袋の間に隙間が生じます。上下の溝も隙間です。明らかに開き戸よりも隙間ができやすい扉です。
デメリット④スペースが必要
引き込み戸を設置するには戸袋が必要です。戸袋を設置するだけのスペースが確保できなければ採用ができません。
戸袋を設置するだけの厚さがなければ、インセットかアウトセットを採用します。戸袋がなければ単なる引き戸です。アウトセットならば、戸を移動させる溝が設置できれば採用ができます。必要な厚さは引き込み戸よりも狭いです。
デメリット⑤戸袋のある壁に設置できないものがある
戸袋に利用した壁は普通の壁と違い、主に次の物が設置できません。
- コンセント
- スイッチ
- 掛け時計
戸袋が、コンセントやスイッチの配線コードを設置できなくします。扉付近にスイッチがほしい場合は、アウトセットの引き戸か開き戸にしなければいけません。設置したいものに制限ができるのはデメリットです。
掛け時計は、穴を開けずに設置できるなら可能ですが、開閉時に落ちる可能性があります。どちらにせよ設置に向かない場所です。
まとめ
「引き込み戸とは?引き戸との違いやメリット・デメリット10選」について解説をしました。引き込み戸は賛否両論の扉です。「わざわざ必要?」や「インセットで十分」などの口コミも多く見られました。
逆に、引き込み戸を設置して良かったという口コミの多くは見た目です。「戸が壁の中に収納されるのでスマート」や「レイアウトがしやすい」などの口コミが多く見られました。大切なのは、違いをわかったうえで自分たち家族に必要な扉を選ぶことです。
いろいろと種類を紹介しました。参考にしながら、家族に最も合う扉を想像されることをおすすめします。