狭小地に注文住宅を建てるのならば「半地下住宅」がおすすめです。「横が狭いのならば縦にスペースを求めればいい!」という発想が狭小地にゆとりをもたらします。
ただ半地下住宅で暮らすことは、ほとんどの人が経験していないはずです。最近の間取りなので、実家に半地下があったという人はそれほどいません。住んだことがないのですから不安になるのは当然です。半地下住宅の採用を悩まれている人は、メリットとデメリットの確認をしておきましょう。
そこで今回は「半地下住宅ってどう?メリット・デメリット10選」を解説します。メリットとデメリットを踏まえてから、半地下により生まれたスペースを何に活用するか決めておくことが大切です。
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目次 [非表示]
半地下住宅のメリット・デメリット10選
半地下住宅のメリット・デメリット10選は次のとおりです。
- デッドスペースの有効活用
- 地震に強い
- プライバシー性が高くなる
- 遮音性が高く温度変化が小さい
- 使用用途がいろいろある
- 浸水のリスク
- 結露が発生しやすい
- 暗い
- 防犯面に不安
- 費用が高い
詳しく解説をします。
メリット①デッドスペースの有効活用
本来ならば床下として何の活用方法もなかったスペースを半地下として活用します。デッドスペースを有効活用した間取りづくりです。さらに次の条件を満たせば延べ床面積の3分の1を限度として容積率の計算から除外できます。
- 住宅として使用されている地階である
- 地盤面から天井までの高さが1m以内にある
- 天井高の3分の1以上が地盤面よりも下にある
後ほど詳しく解説をしますが、一定の条件を満たせば居室としても利用ができます。本来ならば利用のできないスペースを、自由に活用できるのはメリットです。狭小地でも、延べ床面積を大きくできます。
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メリット②地震に強い
半地下住宅は地下階部分の3分の2以上が地中にあるので、地震の影響を受けにくくなります。大きな揺れの影響を受けないため、壊れにくいのがメリットです。掘り下げて作られた基礎が地震に対抗できる住宅にします。
地面に埋まっている部分が深いと揺れに強いイメージを持てませんか。地面の上に建てられた3階建てよりも半地下住宅のある家の方が、地上からの高さが低いです。延べ床面積はさほど変わらないのに、地面から低いという事実が安心につながります。
半地下をシェルターや貴重品の保管庫として利用する人もいるそうです。地震に強いのはメリットのひとつといえます。
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メリット③プライバシー性が高くなる
半地下は目線が遮られます。通行人の目を気にせず開口部を大きくできるので、プライバシー性が高くなるメリットを持っているのです。住宅密集地でも問題ありません。優れた設計ならば、半地下でも開放的な雰囲気を味わうことができます。住宅密集地でプライバシー性が高くなるのは大きなメリットです。
メリット④遮音性が高く温度変化が小さい
半地下は半分が地中にあります。イメージどおり遮音性に優れているのがメリットです。近隣のとの騒音問題も起こりません。半地下で多少うるさくしても大丈夫です。また、半地下は1年を通して温度変化が小さい特徴を持っています。外の気温よりも冬は暖かく、夏は涼しいメリットを持っているのです。
メリット⑤使用用途がいろいろある
半地下住宅は、「遮音性」と「温度変化」に優れたスペースです。2つのメリットを活かした使用用途がいろいろとあります。
さらに詳しく
- カラオケルーム
- 演奏を楽しむ
- シアタールーム
- スポーツ(卓球など)
- ワインルーム
- 保存食の貯蔵庫
- 静かな寝室
最近は自宅でカラオケができるようになりました。Wi-Fiとゲーム機やマイクを用意すれば、自宅が最新曲も歌えるカラオケルームに変わります。また、趣味で音楽をしている人は演奏も問題ありません。特に声楽をされている人にとって半地下住宅は有効です。楽器可の賃貸住宅でも、声楽を禁止する共同住宅は多くあります。それだけ声楽は音問題が大きいというわけです。声楽が趣味の人は、半地下にちょっとした防音設備をプラスするだけで周囲を気にせず練習ができます。他にもシアタールームやちょっとしたスポーツの場など、いろいろと利用を試してみてはいかがでしょうか。畳を引けば柔道も可能です。
また温度差が小さいので、保存食の貯蔵庫にも活用ができます。ワインルームにもちょうどいいです。保存食を保管しておけば、地震発生時のちょっとしたシェルターにもなります。温度差がなく静かな場所なので寝室として利用する人も居るようです。
半地下の使用用途はたくさんあります。子どもの遊び場としても有効です。子どもの声を気にする必要はありません。子どもの成長にあわせ、いろいろな活用方法が半地下にはあります。卓球やサッカーのフェイント練習など、子どもの夢に合わせて設置するのもワクワクしませんか。夢が広がるメリットです。
デメリット①浸水のリスク
半地下住宅は地震に強いメリットを持っていますが、浸水被害には弱いです。低いところへ水は集まります。あつまってしまった水は、掃くのも一苦労です。一度浸水をすると、大掛かりな修繕が必要になるかもしれません。張り替えなどで費用がかかるのもデメリットです。最近は、水害が発生するニュースを見ることが増えました。温暖化の影響なのかはわかりませんが、今後も減ることはないと思われます。台風やゲリラ豪雨による被害により、ほんの数分で半地下に水がたまるかもしれません。
デメリットをできるだけ回避する方法は次のとおりです。
ココがポイント
- 地盤調査の徹底
- 先やり防水の採用
- 後やり防水の採用
- 半地下住宅の実績が豊富なハウスメーカーに依頼をする
事前の地盤調査により、半地下で家を建てても大丈夫な土地かを必ず確認しましょう。向いてない土地ならば断念することも大切です。無理やり半地下住宅を建てても、修繕費で痛い目を見ます。
ココに注意
先やり防水は、躯体を建てる前に施す防水対策です。掘り起こされた地面がくずれてこないよう固めます。固めたあとコンクリートで躯体を作成すれば防水層の完成です。
後やり防水は、コンクリートで養生をした上から直接防水を行います。どちらにせよ、実績のあるハウスメーカーに依頼をしなければいけません。半地下住宅を希望している場合は、過去にどれだけ半地下住宅を建てたかを確認しましょう。浸水が発生していないかの確認も必要です。
浸水のリスクを軽減する方法はありますが、自然災害なので完全とは言えません。半地下住宅には浸水被害といったデメリットがあることを知っておきましょう。
デメリット②結露が発生しやすい
半地下は湿気がたまりやすいので、結露が発生しやすい場所です。対策を何もしていない半地下はジメジメして不快かもしれません。カビが発生することで臭いもきつくなります。結露が発生しやすいのは半地下のデメリットです。
先ほどの浸水と合わせて対策を講じておかなければ居室としての利用はできません。居室として利用するための主な条件は次のとおりです。
ココに注意
- 湿気を排出するためのドライエリアなど開口部が必要
- 適合基準を満たした温度調整と換気の設備が必要
- 水が浸透しない構造
- 浸透の防止と浸透した水を排出するための防水措置が必要
- 防水層が必要
半地下を、居室や寝室に利用するには上記の条件を満たしていなければいけません。空気の流れを半地下につくることで結露対策ができます。特に夏は結露が発生しやすく、十分な換気が必要です。エアコンにより冷やされた空気により半地下の壁が汗をかいたようになります。放置をするとカビが発生し、臭いもきつくなるのです。
先ほどいろいろな利用方法があると説明をしましたが、寝室やリビングとして利用をしない場合でも上記の条件はクリアしなければいけません。居室の中には娯楽などのために利用をする部屋も含まれます。半地下を設置するのならば結露対策は必須条件です。やはり優れたハウスメーカーに依頼をしないと住み始めてから後悔する可能性があります。結露を防ぐためにも実績のあるハウスメーカーに依頼をするようにしましょう。
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デメリット③暗い
半地下と聞くとやはり「暗い」というイメージが持てます。自然の採光を入れるには工夫が必要なので、多くの半地下は暗いです。完全な地下ではなく半地下部分の3分の1以上の高さが地上に出ているので、完全に採光がないわけではありません。
しかし、周囲の状況によっては1日に数分しか採光が取れないケースもあります。そこで活躍するのが「ドライエリア」です。ドライエリアを上手に設計すれば、光と風を半地下部分に取り込めます。
半地下を居室にするのならばドライエリアが必要です。
さらに詳しく
ドライエリアは、建物の周囲の地面を掘ってつくるスペースのこと、空堀と呼ぶ人もいます。深さは自由です。半地下をリビングにする場合は、床の高さまでドライエリアを掘り下げます。深く掘ることで、プライバシー性を維持したまま開放感と採光が得られる間取りになるのです。
ただドライエリアは先ほどの浸水被害の原因を引き起こす可能性もあります。ドライエリアで処理できないほどの雨水が侵入すれば、被害が甚大になるかもしれません。やはり信頼できるハウスメーカーの採用が必須です。
暗いに関しては他にも照明の数を増やすなど、デメリットを解消する方法はいくつかあります。ドライエリアと照明の工夫で暗いデメリットを防ぎましょう。事前に対策をすることで排除できるデメリットです。
デメリット④防犯面に不安
半地下は防犯面に不安があるのがデメリットです。先ほどのメリットでプライバシー性が高いと説明をしましたが、逆手に取るのが泥棒ではないでしょうか。周囲の目が届かないことを良いことに侵入を考える可能性もあります。
小学生ぐらいの子どもにとって半地下はワクワクする場所かもしれません。ドライエリアを通って外に出るなど、いろいろな遊び方を工夫します。知らないうちに、ドライエリアから外にでるための台を設置しているかもしれません。泥棒にとってはまさに好機です。ドライエリアをちょっと覗いただけで、侵入できるかの判断ができます。子どもの遊びの工夫が防犯面を弱くさせるかもしれません。
また、強盗が入り半地下に閉じ込められたら逃げ場がないのも危険です。大抵の半地下は出入り口が一カ所しかありません。封じられたら何もできない可能性が高いです。防犯面を強化するためにも、ホームセキュリティを利用することをおすすめします。また、普段から玄関を閉めるなど、防犯意識を高めておくことも大切です。意識を高めることで、デメリットを防ぐようにしましょう。
デメリット⑤費用が高い
半地下住宅最大のデメリットは費用が高額になることです。地上で部屋を作るときにかかる費用の倍以上のお金が必要になるかもしれません。半地下住宅を居室として活用する場合で必要になる主な費用は次のとおりです。
必要な費用
- 地盤のボーリング調査費
- 構造計算をするための費用
- 半地下の鉄筋コンクリート部分にかかる費用
- 先やり防水と後やり防水にかかる費用
- 堀った土の処理費用
- 地盤改良費用
- 排水ポンプなどの設置費用
- 防潮板などの設置費用
- 除湿対策に関する費用
- 換気経路のための費用
半地下の広さによっても変わるので、一概に費用がいくらとは言えません。ただ半地下を採用することで坪単価が倍以上になった例もあります。半地下を居室として利用するには、上記の費用が必要です。削ることもできますが、結露や採光が取れないなど問題のある半地下になるかもしれません。利用をしない半地下は恐ろしいです。半地下を採用するのならば、性能に関する費用の削減だけはやめておきましょう。安く半地下住宅を建てたとしても、利用したいと思えない半地下ならばお金の無駄遣いではないでしょうか。
半地下には優れたハウスメーカーの施工が必要です。実績のあるハウスメーカーは坪単価が高額になります。総合的にどんどん価格が上昇する可能性が高いです。半地下を採用するのならば費用面に関するデメリットは覚悟をしておきましょう。十分な打ち合わせが必要です。
まとめ
「半地下住宅ってどう?メリット・デメリット10選」を解説しました。半地下最大のメリットはデッドスペースの有効活用です。半地下にしなければ利用されないスペースを有効に活用ができます。最大のデメリットは有効活用するためにかかる費用です。普通の2階建てを建てるよりもだいぶ高額になります。
半地下住宅を希望する場合は、多くのハウスメーカーに相談をしましょう。複数のハウスメーカーに相談をすることで信頼できるハウスメーカーが見えてきます。デメリットを最大限に抑えられるハウスメーカーかどうかを見極めてから依頼をするべきです。